ビジュアルカルチャーをおもしろくする編集者たち
Vol.4 KAI-YOU

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ポップポータルメディア「KAI-YOU.net」


2013年3月、「POP is Here !!!!!!!!!」というセンセーショナルなスローガンのもと、「ポップポータルメディア」と銘打った新たなWebメディア「KAI-YOU.net」が誕生した。当サイトを運営するのはKAI-YOU, LLC.である。コンテンツのカテゴライズを見てみると、「本・文芸」、「情報化社会」、「アニメ・漫画」、「イラスト・アート」、「音楽・映像」、「エンタメ」。この枠があるようで無いような独特な切り口に、KAI-YOUの意味する「編集」のスタイルが顔を覗かせている。KAI-YOU自体の実績も、編集、デザイン、Web、イベント運営など、実に幅広く展開している。また、2011年にpixiv-zingaroで開催された「KAI-YOU presents 世界と遊ぶ!展」、Project-Recodeと連携したビジュアルレーベル 「Recode」など、ビジュアルカルチャーとも密接な関わりも持つ。本連載最終回となる今回は、まさに会社規模で新たな編集のスタイルを実現しているKAI-YOU代表・武田 俊さんと同副代表・新見 直さんに、これからのメディアと編集、さらにはそこから見えるビジュアルカルチャーについてお話を伺った。

今年、Webメディア「KAI-YOU.net」も開設され、ますます露出が増えてきたと思うのですが、まずKAI-YOU設立の経緯を教えていただけないでしょうか?

武田 僕も新見も、もともと大学で文学部日本文学科に所属して、文学を専攻していたんです。ちょうどその頃に、自然と集まってお酒を飲んだりする仲間がいて、「本を作りたいね」という話になったんですよ。そこから文芸誌「界遊」を作りはじめたのがすべての始まりですね。これが2008年のことです。

kaiyou02.jpg なるほど、出発点は同人誌やフリーペーパーではなく、文芸誌だったわけですね。武田さんや新見さんを、文芸誌「界遊」の創刊へと突き動かしたものは一体なんだったのでしょうか?

武田 その当時、某文芸誌上で、ある作家が「小説のことは小説家にしか理解できない」と発言したことから、論争が巻きおこっていたんですよ。そのテーマを作家同士が対談していて、僕らはその作家や作品に興味があったからそれを読んでいたわけなんですけど、「作り手自身が、作品は作り手にしか理解できないと話していたら、新しい読者なんて生まれないんじゃないの?」ってどうしても腑に落ちなかったんです。そもそも「言葉」というものは他者とのコミュニケーションツールとして存在していて、それが芸術作品、あるいはエンターテイメント作品になったものが小説なはず。となると、この論争では言葉が本来持っている目的や役割が何処かへ放り去られている。そんな違和感を感じたんです。

新見 さらに当時は文芸に限らず、僕らから見たらとても退屈な状況だったんですよ。あるジャンルをちょっと掘り下げてみたら、面白いものを作っている人はたくさんいるのにも関わらず、その最前線にいる人達が内輪で揉めていたりする状況はあまり良いものではないですよね。その内輪揉め自体も、ある種ショーのように第三者が見て何か共有できるものであれば良いのですが、それが全然外に向かっていなかったんですね。そういう状況を、自分たちの手で変えていきたいという気持ちが強かったです。

武田 そこから、「じゃあ、僕らで文芸をベースにした新しいカルチャー誌を作ってみたらどうだろうか」と考えました。僕らは小説だけが好きなわけではなく、アニメやゲーム、映画など、すべてフラットに好きなわけで、そういう雑誌を作ろうと。それで2008年の5月から、まさに手探りの中で活動を開始しました。

 

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