作品で対話の場を作り出す、幼稚園でのコミッションワーク

こんな幼稚園があったら通いたい!
そんな素敵なアートワークが施された幼稚園が都内某所に誕生した。
このコミッションワークを手掛けたのは、アーティストの池田光宏と小木曽瑞枝だ。建築物は竹中工務店が手掛ける建築物のアートワークで企画コンペに採用され、園全体のアートワークおよびロゴマークを手掛けた。

実際のアートワークを手掛ける前段階から、池田+小木曽の作品づくりが始まった。
「僕らのプランが採用されたことの大きなポイントは、ワークショップを積極的に取り入れたことと、アートワークにシーンを演出する機能を持たせる提案をしたことだと思います」

園舎のリノベーションにおけるワークショップとは何なのだろうか。それは、園児が自分たちが通う園舎づくりに参加すること、それがみんなの思い出づくりになることだった。工事期間中には、園舎の周りに仮囲いがされるのだが、その囲い部分にマスキングテープを用いて思い思いの絵を描く、その上からみんなでペンキを塗る。マスキングテープを剥がすと白抜きの絵が出来ているというわけだ。
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「園児たちにとって園舎はすごく愛着があるものです。それを新しく作るのに自分たちも参加しているという感覚を味わってもらいたかった。そして、園児たちの中には仮園舎のまま卒園してしまう子もいます。そういう子たちにとっても、みんなで絵を描くという思い出を創ってあげたかった」

メインのアートワークがこれである。

ikeda&ogiso01.jpg 5つのブロックと雲のような吹き出しのようなオブジェ。園児たちは毎日この前を通り、アートワークの前で入園式や卒園式の写真を撮る。思い出の場所になる。これは、池田がかねてより制作していた「コミュニケーション」を誘発する場づくりにまつわる作品のアイデアを元に、小木曽が得意とする色彩豊かなグラフィックワークをコラボレーションさせたものだ。
「校門の前はみんながよく記念写真を撮る場所。なので、せっかくなら面白い写真が撮れる場所にしたいと思いました。アイディアのベースにしたのは自分が2年前のグループショウに出品した『他の人の作品を見るための椅子』という作品です。それは椅子に吹き出しがついているもので、座って休んでいる人たちは、遠くから見るとおしゃべりしているように見えるという趣旨。今回は園児が座ることを想定して、言葉にならない、もっともやもやした抽象的な形が園児から溢れ出るようなイメージでアレンジしました。形を紡ぎ出す着想は幼稚園の園歌「ひかりのこども」の歌詞から得ました。おとぎ話のような詩が僕らの目指す世界観と重なり合ったように思えたのです」

幼稚園側との度重なる対話を経て、さまざまな角度からこの幼稚園のよさを再考し、アートワークに落とし込むだけでなく、そこから誘発されるコミュニケーションやシーンまでを想定し、さらに子どもたちの動機付けとなるワークショップまでトータルにかかわっている。

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園のロゴマークも手掛けた。


また、現在では池田と小木曽は幼稚園の美術の授業を担当しており、子どもたちに自由な造形を促すワークショップ形式の授業を行っている。この時は「ピカソの目を描こう」というテーマで、普通じゃない目を描き、子どもたちは大興奮であった。

ikeda&ogiso04.jpg ikeda&ogiso05.jpg  テレビゲームやアニメ、キャラクターが普及している昨今、子どもたちが自由な発想力を発揮できる場所が少なくなっているようだ。そんななか、興奮状態の子どもたちを見て、また、こんな幼稚園があったら通いたい!と思ってしまった。

※記事に登場する幼稚園の設計施工は竹中工務店、アートプロデュースはTAKプロパティが行った。


Text_Keiko Kamijo


池田光宏
1969年生まれ。日本大学芸術学部卒業、東京藝術大学大学院修了。08年文化庁新進芸術家海外研修によりスウェーデンに在住。主にパブリック・スペース を活用し、日常にささやかなハプニングをもたらすようなアプローチのもと作品を制作、発表している。最近の主な展覧会に'03年、'06年「越後妻有トリ エンナーレ」(新潟)、'08年「赤坂アート・フラワー08」旧赤坂小学校(東京)、'10年「ミマクル・ミラクル」府中市美術館(東京)などがある。ま たワークショップでは妻の小木曽瑞枝氏と共にユニットでも活躍。


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黄金町バザール2011(横浜トリエンナーレ特別連携プログラム)
会期:~11/6(日)まで
会場:京急線「日ノ出町駅」から「黄金町駅」間の高架下周辺市街
詳細:http://www.koganecho.net/koganecho-bazaar-2011/info/info01.html

AOBA+ART 2011
会期:10月1日(土)~10月23日(日)
会場:横浜市青葉区美しが丘・住宅街
詳細:http://www.aobaart.com/news/

小木曽瑞枝
1971年生まれ。日本大学芸術学部卒業、東京芸術大学大学院修了。07年ポーラ美術振興財団在外研修員としてスウェーデンに滞在。風景の観察を通した独 自の視点で物語を構築し、ファンタジーとリアリティーの狭間にある世界観を平面と立体を構成したインスタレーション作品として発表。最近の主な展覧会に、 '03年「Project N」オペラシティアートギャラリー(東京)、'09年「Get Set」ヴィルセルム美術館(スウェーデン)、'10年「ポーラミュージアム アネックス展2010"祝祭"」(東京)などがある。


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小木曽瑞枝+光楽恭子のユニットRantorgetによる
「小遊山バック」がNADiff a/p/a/r/tにて発売中。
http://www.nadiff.com/home.html

小木曽瑞枝と菊地敦己のコラボレーションによる
ポストカード「The Garden of Deep Sea」がユトレヒトにて発売中。
http://www.utrecht.jp/person/?p=389



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