kvina インタビュー

作家、デザイナー、写真家、イラストレーターの女性4人が集うアトリエ「kvina(クビーナ)」が繰り広げる、最高にキュートで怪しく美しいサマーキャンプへ。

 

kvina(クビーナ)というのは「5番目の」という意味を持つエスペラント語。メンバーは、小林エリカ(作家・アーティスト)、田部井美奈(グラフィックデザイナー)、野川かさね(写真家)、前田ひさえ(イラストレーター)の4人だ。彼女たちはそれぞれ仕事をもちながら、「LIBRO de KVINA(リブロ・デ・クビーナ)」というレーベルで本にまつわるプロダクトを作ったり、kvina名義で活動をしている。
先日、山梨にあるギャラリーgallery traxで行なわれたサマーキャンプをテーマにした展覧会「SUMMER CAMP/Somera Kampado/サマーキャンプ」が行なわれ、その報告となる「SUMMER CAMP MEMORIES / Someraj Kampadaj Memoroj」 サマーキャンプの思い出」が目黒の
CLASKAにて開催された。

 

女の子が持つ、繊細で強くてピュアでずるくてはかなくてたくましい、そんな相反する感情がぐるぐるとしているkvinaの作品は、胸の奥に潜む感情をちくちくしギュッと締めつける。でも見終わったあとはみんなきっとこう思うだろう、女の子っていいなあと。では、kvinaの4人にお話を聞きつつサマーキャンプの思い出に浸ってみることにしよう。


まずは、kvinaの活動について教えてください。

 

kvina それぞれ別々で活動しながら、「LIBRO de KVINA」というパブリッシングラインをやっています。「クビーナの本」という意味です。日本語と英語とエスペラント語のトライリンガルで、小さな本を出版したり、本や言葉にまつわるプロダクトを作ったりしています。日本語を話す人も、英語を話す人も、それ以外の言葉を話す人にも届くような言葉や本、プロダクトを作りたいと思っていて。例えば今回の場合だったら「サマーキャンプのための本(+お皿)/Recipe for SUMMER CAMP (with Plate)」というプロダクトを作っていて、それはレシピ=本ということで、お皿とのセットの本を作るというような。すべて「本」がベースになっているんです。

 

今回の展示は山梨のgallery traxで行なわれた「SUMMER CAMP」の巡回展ですね。テーマは同じで、一人ずつ火・水・土・風というモチーフにして作品を作ったと聞きましたが、全体のテーマはどこから?

 

野川かさね(以下、野川) 私はよく登山もするしキャンプもする、リアルキャンパーなんです。今回テーマにしているサマーキャンプは、ちょと違うなあという話をしていて(笑)。その時にキャンプといえば料理という話が出てきて、料理は火を使うし水も使う。そんな話からコンセプト広がっていきました。各人にテーマを振るときには「エリカちゃんは水っぽい」とか、そんな感じで。

 

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前田ひさえ (左)「Hello Shyness 2010」 (右)「Hello Tenderness 2010」

 

では、お一人ずつ作品のお話をお話を聞かせてください。まずは、「土」の前田ひさえさんから。今回は4点のペインティングでした。

 

前田ひさえ 最初は「土」というテーマにちょっとだけ違和感があったんです。普段絵を描く時に自分の中で起こっている感覚は、火とか風が強くて。でも、「土」という言葉と向き合って、イメージを膨らませてみたら、自分の中に土の要素があるということが分かりました。
私は作品を作る時に、何かに対するリアクションとしてイメージが出てくることが多いんです。それは頼まれて描くイラストでも自分の作品でもそう。自分の中に強いメッセージがあるというわけではなくて、テーマを自分というフィルタを通してそこで起こった感情を伝える。その感じが「土」に似ているような気がして。孤独だけど、じっと向かい合うような親密さだったり、やさしさだったり。なので一つひとつの感情に向き合う「Hello」というタイトルをつけています。

 

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野川かさね 「火、fire、fajro」

 

野川かさねさんは「火」の担当ですね。布に転写プリントされていて、火が持つ強くて激しいイメージというよりは、少し柔らかいなという印象です。

 

野川 自然にもいろいろあると考えつついつも写真を撮っていて、山の写真をよく撮っているんだけど、街にも山にも自然はある。自分の中ではそうした大きな意味での自然をテーマに写真を撮っていくのだと思っていて。今回キャンプというテーマになった時に、いつも自分がしているようなキャンプではなく、もう少し抽象的なイメージにしようと考えました。キャンプ=料理というのも面白いな、と思っていたところに「火」が出てきたので焚き火を撮影しています。
kvinaの活動では個人ではできないことをやろうと思って、今回は転写プリントに挑戦しました。一緒に展示しているのが、イラストとかグラフィックの人たちだからこういうことができたのだと思う。

 

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小林エリカ 『私は水を渡る「窓」 2010』

 

「水」の担当は小林さん。

 

小林エリカ 水っぽいと言われて、自分の作品を振り返ってみたら、水にまつわる作品をよく作っていたことに気づいたんです。子どもの時、自分が涙を流したらその涙が蒸発して、それが山から雨となって降ったりとか、自分のよだれが北極圏まで行って何千年も先の人の飲み物になるんじゃないかって考えていたことを思い出して。時を超えたり、場所を変えて出合ったり、そういうことがあるんだなって。

 

また、旅行に行った先々で水のドローイングをよく描いていました。それが『窓』という作品なのですが、広島と伊豆の下田の旅館の窓についた雨粒、ベイレンというアンネ・フランクの旅をしていた時の電車の車窓についた雨粒を絵にしています。3箇所の全然違う場所で、同じ雨が窓についたところをドローイングしているんだけど、場所によってちょっと違うし、でも繋がる部分がある。全然違う場所でみたものがどこかで繋がるという感覚が面白くて。自分が今いる時間や場所、未来の人がいる場所や時間、それがすごい近くだったり遠かったり自分と身近な人や遠い人がどうやったらふっと繋がるかという。そういう瞬間があるのかということに興味があって。今回そういう風に普段思っている興味を、「水」というテーマでやれたから面白かった。
kvinaとして作品を作ることで、いつもの自分の作品から飛躍できる。

 

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田部井美奈 「風、wind、vento」

 

「風」の田部井美奈さん。このフラッグと女の子のポスターも、他の方の作品とはまたちょっと違った雰囲気で面白いです。

 

田部井美奈 風を、何か吹いてモノが舞い上がっているというような説明の描写ではなく表せないかなと思っていて。旗が揺らめいていれば風が吹いていると感じる。荒く波が揺れていれば激しい風で、優しい波だったら優しい風というような。グラフィック的に面白いからまずは縞々の旗を作りました。でもそれだけだと物足りないなと思って、同じように風に吹かれている人物を作ってみようと。そこで、女の子の髪の毛の線をグラフィック的に表現できないかなと思って。その時に、手描きではなく定規の線を借りたような感じを出したくて、風速何メートルでどの方向から風が吹いてきたというのを数式ポンと入れたような、そんな線を表現しました。kvinaの活動をしてみて、いかに自分の頭が固かったかということが分かりました(笑)。みんな考え方が違うから、いい作用が起きていると思います。

 

いいチームですね。お互いがきちんとプロとして仕事をしているけど、みなさんの作品全体が醸す雰囲気というのはどことなく同じ方向を向いている。だから方向性にブレがないんですね。今後の予定を教えてください。

 

kvina LIBRO por MIELOというプロジェクトがあって。10月に表参道のユトレヒトでワークショップを行います。これは「はちみつのための本」という意味の言葉です。はちみつがメインでもなく本がメインでもない、そういうプロダクトを作ろうと思っていて。はちみつって花や季節によってほんとうに様々な種類があり、発見や神秘がたくさんある。様々なアーティストと一緒にはちみつの世界を学び、作品を制作し、で最終的に本を作る予定です。本を作るための過程として、アーティストそれぞれが、ワークショップを一年の中で定期的に行っていくことになります。
東京で養蜂家をしている門田温子さんという方がいて。その方は私たちと同年代なんですが、そういう人が東京で蜂を育てているということにすごく興味があって今回一緒にやることになったんです。はちみつって花から採れたものなので、時間が詰まっていたり、気候や花で味が違ったり。そういう時間や空間を超えたものを、トライリンガルのプロダクトとして出すのは面白いかなと。

 

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Text_Keiko Kamijo

 


 

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写真左から)小林エリカ、前田ひさえ、田部井美奈、野川かさね。

kvina
"kvina"(クビーナ)はエスペラント語で「5番目の」 という意味の言葉です。
東京・広尾のアパートメント5階に、田部井美奈 (グラフィック・デザイナー)・野川かさね(写真家)・前田ひさえ(イラストレーター)・小林エリカ(作家)の4人でアトリエを借りたことから"kvina"は、はじまりました。
http://librodekvina.com
LIBRO por MIELO

小林エリカ(作家)
http://www.homesickless.org/flowertv
小林エリカのProfileページはコチラ

田部井美奈(グラフィックデザイナー)
http://www.minatabei.com
田部井美奈のProfileページはコチラ

野川かさね(写真家)
http://www.kasanenogawa.net
野川かさねのProfileページはコチラ

前田ひさえ(イラストレーター)
http://hisaemaeda.com
前田ひさえのProfileページはコチラ




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